

シベリア鉄道に一度は乗ってみたいというあなたに、独断と偏見でアドバイス!
私のシベリア鉄道歴ですが、@ナホトカ→ハバロフスク→モスクワ(1982年)、A北京→ウランバートル→モスクワ(2000年)の2回横断経験があります。(ほかにハバロフスク→ナホトカ1回)
私の従姉妹(いとこ)は私のシベリア鉄道経験談に触発され、これまでに10回利用しています。経路は@ウラジオストック〜モスクワ、A北京〜満州里〜モスクワ、B北京〜ウランバートル〜モスクワ。
私の母親は54歳の時(1984年)に@ナホトカ→ハバロフスク→モスクワと、72歳になってから(2002年)北京→ウランバートル→イルクーツクまでを利用したことがあります。
よくある質問1:どのルートがおすすめですか?
私はウラジオストック→ハバロフスク間を経験したことはありませんが、10回経験した従姉妹と同意見で「北京〜ウランバートル〜モスクワ」ルートがおすすめです。
北京からモンゴルを抜けるあたりまで絶景が続きます(一部、そうでないところもありますが……)。シベリア鉄道本線では、線路沿いに防雪林などが植えられていて、広大なという景色が延々と続くわけではありません。広大な景色を求められるのであれば、アムトラック(アメリカ大陸横断鉄道)のカリフォルニアゼファー号や、ポーランドあたりの列車が良いのではないでしょうか? 冬場シベリア上空を飛ぶ飛行機もいいですね。
よくある質問2:どの季節がおすすめですか?
格安飛行券などが登場する80年代半ばまでは、シベリア鉄道はヨーロッパに安く行きたいという人で年中利用者がいたようですが、今は夏休みに集中するようです。せっかく壮大な旅するのに日本人に囲まれて移動するというのはもったいないような気がします。特に、日本人は「何かをしていないと落ち着かない」(ボーっとして過ごすことができない)という人が多く、何もすることがないシベリア鉄道ではストレスを感じる人も少なくないように思えました。シベリア鉄道の中で、夏休みの宿題が計画通りに片付かないとパニック状態に陥っていた日本人大学生に出会った思い出があります。できれば日本人観光客の少ない時期がおすすめでしょう。
私は夏(7月上旬)と晩秋(10月初〜中旬)に利用したことがありますが、晩秋が良かったです。10回経験している従姉妹は5月がおすすめのこと。厳冬期が良いという人もいますね。夏はハエが多かった記憶があります。
北京発莫斯科行き国際列車 10月上旬夕暮れの内モンゴルの車窓
BGMは、JEFF BECK "DIAMOND DUST" PAUL McCARTNEY "TAKE IT AWAY" 溝口肇 "世界の車窓から"
よくある質問3:ひとりで大丈夫でしょうか?
よく「ひとりでは不安なので、友人と……」という話を耳にしますが、ぜんぜん大丈夫です。日本人同士で固まってしまう傾向は強いですし、それによって旅先での視野・感度も狭くなります。旅先で友人を探すことも楽しいことです。アメリカやイギリスでは英語の文法や発音で聞き取ってもらえなかったりすることしばしばですが、ロシアでは、あなたがガイドブックのうしろに書いてある旅のロシア語をカタカナで棒読みしても95%通じます。また、言葉がなくてもどうにかなる場面も多いものです。ただし、治安はいまひとつの状態が続いているようですので、日没後の外出、メインストリート以外の横道などは十二分な注意が必要でしょう。あまり不安情報に振り回されることはないと思いますが、知識がないよりはよいでしょう。シベリア鉄道の中は比較的安全だと思います。
ロシア人は仏頂面と表現されることが多いですが、実際は、おしゃべり好きで人なつっこい人が多いです。シベリア鉄道は、ひとりで乗って、ロシア人たちの接待を受けるのがいちばん楽しいと思います。日本人ツアーは無難かもしれませんが、シベリア鉄道の本当の魅力は半分以下になるでしょう。 (下記「シベリア鉄道 人情編」を参照してください)
よくある質問4:2人用個室か4人用個室か?
シベリア鉄道には、2人用個室(ソフトクラス・軟臥車)と、4人用個室(ハードクラス・硬臥車)があります。(6人用の開放寝台もあるようですが、外国人旅行者には、あまり関係のないようです)。私自身はプライバシー重視派(2人用個室派)ですが、経験から4人用個室の偶然の出会いというものも捨てがたいものがあります。従姉妹の意見では、2人用個室はルームメイトの当たりはずれが大きいようで無難なのは4人用と言います。
ロシア人やモンゴル人の乗客はインターナショナルなルールが通じるようですが、中国人労働者と同室になると、悪い人たちではないのですが、コンパート内で痰・ツバを吐いたり、深夜遅くまでマージャンをしたりしてロシア人乗務員とトラブルになったり、寝ている子供を冗談で起こされたりと大変だったということです。
中国車両(ウランバートル経由)の軟臥車には、2個室に1つシャワーがついていますが、従姉妹の話では、お湯が出なかったのと、隣室と共用なのにロックができなかったので、あってもなくても同じだったということです。最近、シベリア鉄道の車両にも著しい進化が見られるようですので、最新の情報にも注意しましょう。(男女別個室も登場したようです)
よくある質問5:途中下車? それとも、直通?
私の従姉妹のように生活路線として(帰省のため)利用しているのなら途中下車なしというのもありかもしれませんが、ただ単に、寝台列車に乗り続けるというのには意味がないと思います。途中の主要都市、ウランバートル、ハバロフスク、イルクーツクなどは最低下車してみるべきでしょう。ただ、ロシア人の友人の話では、シベリアには多くの刑務所があり、刑期を終えたものの、行くところも職もない人たちが滞留していて治安が良くないということです。エカテリンブルグのようなマイナーなところで途中下車される場合は、十分に情報収集された方が良いと思われます。
よくある質問6:持って行って良かったもの
シベリア鉄道は人情を楽しむ鉄道のような気がします。
@『ロシア語ミニ辞典(露和・和露)』(白水社)←これがあれば会話は数倍面白くなる!
Aチェキ(フジフィルムから出ているポラロイド式カメラ)
Bチェキのフィルム (5人グループを撮影すると5枚のフィルムが必要となり、フィルムの消費量が多い。西ヨーロッパではインスタックスミニという名称でフィルムは入手できるが、中国・モンゴル・ロシアでは入手困難)
C同じコンパートになった人との宴会用食品 (私は日本からはユーハイムのバウムクーヘンとモンカフェ、途中でキャビアを入手しました。キャビアは同じものでもモスクワ・サンクトでは高額でした。ウランバートル・イルクーツク・ワルシャワなどで入手されることをすすめます)
よくある質問7:切符の手配
ロシア、東欧などは、ホテル代、鉄道運賃が、日本などに比べて安い分、旅行社を通して手配すると手数料等の関係で割高になるように思えます。ただ、ロシアではビザも必要な上、北京発モスクワ行きは週2便しかないことを考えると、ロシアの交通機関・ホテルは旅行社を通して手配したほうが無難かもしれません。私がシベリア鉄道の切符を手配する時は、価格の安さよりも、ソビエト時代の窓口的旅行社「日ソツーリストビューロー」、現「ユーラスツアーズ」を利用しています。私の従姉妹は北京の国際飯店の中にある旅行社か、もっとも価格的に安いのは在米ロシア人の運営するサイト"Go to Russia"から入手するようです。ちなみに「最近、モスクワの駅窓口で直接購入したけど、あまり安くなかった」と言っていました。
最新の情報:
1)切符の発売開始は45日前。
2)ロシアは好景気で物価上昇が激しく、運賃に関しては最新の情報が必要。
ちなみに2008年7月に従姉妹が実際に乗車した時の切符の値段。
モスクワの駅の国際切符売場(乗車当日購入)
モスクワから北京(満州里経由)
1等:18,000RUB=約77,000円
2等:11,000RUB=約47,000円
北京国際飯店内の旅行社(2008年8月復路分)
北京からモスクワ(満州里経由)
1等:5,800CNY=約85,000円
2等:3,700CNY=約54,000円
北京からモスクワ(モンゴル経由)
1等:5,400CNY=約79,000円
2等:3,400CNY =約50,000円
2008年7月、従姉妹は乗車当日にキャンセルがあり購入できようですが、かなり混雑している様子。ただし、9月は運賃高騰のせいかガラガラだったようです。
従姉妹は、中国語、英語、スウェーデン語、フインランド語が話せますが、ロシア語は話せません。(ロシア人にメモを作成してもらって窓口で購入しているそうです。2008年7月の時点では、モスクワの窓口ではまだ英語が通じなかったそうです)
車両は最新型車両と従来型車両の混合編成だったようです。
参考までに、リガからモスクワまでは45LVL=約9700円だったそうです。
3)繁忙期の区間乗車は難しい。全線乗車を優先させる傾向らしい。
4)2008年7月ロシアから中国入国時(満州里国境)ではパソコンのデータ検査があったそうです。ウインドウズは一時押収されます。マックは立会いでデータの開封を指示され、内容の説明を要求されたそうです。
※間違いや補足等ございましたら御連絡ください。
ロシアもシベリア鉄道も「また行ってみたい」「また乗ってみたい」という人と「もう二度とゴメン」という人と両極端に分かれるようです。私にとっては、飛行機の窮屈な7時間よりも、7日間の鉄道の旅の方が短く感じられました。また、ロシア人は、アメリカ人やヨーロッパ人とも明らかに異なります。あなたにとって、ロシアは第二の故郷になるか?
「シベリア鉄道に乗ってみたい!」と真剣に考えている人は、早く行動に移した方が良いと思います。シベリア鉄道の車両のグレードアップ(プライバシーの確保)やロシア人の生活形態の変化によって、以前のような、コミュニケーションあふれるシベリア鉄道の旅は失われいくと思われます。また、2000年には月1万円と言われていたロシア人の賃金。最近の都市部では月7万円くらいにまで上がっているようです。貧乏旅行も悪くありませんが、いつかはできなくなるであろうロシア・東欧でのワンランク上のちょっと贅沢な旅を今のうちに味わっていた方が良いかもしれません。
あなたからの御質問や情報をお待ちしております。
また、シベリア鉄道に関する、最新情報や、あなたの御意見・御感想もお寄せください。
こんなひとたちと同室になりました
北京→ウランバートル→イルクーツク→モスクワ (2000年10月)
(写真の画質は故意に下げています)
北京発モスクワ行き国際列車 (中国車両)
硬臥車 (4人用個室寝台)
北京→ウランバートル (1泊2日)
北京からウランバートルまではニュージーランドの女性と2人使用。
北京出発直後は会話が持てずに困ったが、昼食時一緒に食堂車に出かけてからは気楽に。
今でも手紙やメールが来ます。
中国国内では食券が2回無料配布。
ウランバートル発イルクーツク行き 263列車 (モンゴル車両)
硬臥車 (4人用個室寝台)
ウランバートル→イルクーツク (2泊3日)
ウランバートルからイルクーツクまではふたたびニュージーランドの女性と同室。
さらに、モンゴル人男性2人も同室に。
国境駅の長時間停車も、みんなで楽しく過ごせました。
一車両、私とニュージーランドの女性以外は全員モンゴル人乗客。
写真は2日目の夜は車両全体で宴会になりました。
右手前の男性とはメールのやりとりをしています。
ロシア号 (ロシア車両)
イルクーツク→モスクワ (3泊4日)
ソフトクラス (2人用個室寝台)
初日 イルクーツク→隣の駅 (約1時間)
まさに、ローカル線としての利用。
静かに新聞を読んでいました。
2日目の夜から3日目 ノボシビルスク→エカテリンブルグ
いやぁ、最初は東西冷戦の緊張状態。
どうにか杯を交わし、帰国後メールもいただきました。
3日目から4日目 エカテリンブルグ→モスクワ
即、仲良し。即、おごってもらって。
次の日まで笑いっぱなし。
帰国して2年くらいしてメールが来ました。
北京からイルクーツクまで一緒に旅したニュージーランドの女性は、
モスクワからサンクトペテルブルグへの列車の中でアルゼンチンの男性と知り合い、
そのアルゼンチンの男性はサンクトの街でロシア人の少女たちと知り合う。
そして……
シベリア鉄道のでの移動は「旅行(ツアー)」と考えるか「旅(トリップ)」と考えるかでまったく異なってくると思います。鉄道車両や、車窓だけがシベリア鉄道ではないのです。「旅」にはさまざまなマイナスのリスクも生じますが、それ以上に、今の日本では味わうことも少ないドラマよりもドラマチックな出来事が待っていると思います。
そのときの旅行記
だまされたと思って、
読んでみてください!
これを読んだら、一人でシベリア鉄道に乗りたくなります!
旅に出たいけど、なかなか出られないという人にもおすすめ!
『いつかモイカ河の橋の上で』
―――会社を休んで59日間地球一周 鉄道の旅―――
93章の物語と93枚の写真でつづる
第三書館
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【読者からの反響】「通勤電車の中で2回も読んでしまいました。とてもすてきな本に出会えると通勤が楽しくなります」(東京)
「通勤時間が短く感じられました。危うく駅を乗り過ごすしそうになりました。あんな面白い旅ができるのは才能だと思いました」(大阪)
「今まで幾多の旅行記を読んできましたが『いつかモイカ河の橋の上で』が一番興味深く読む事ができました。1ページごとに写真があり極めてリアルにその状況を感じさせてくれています」(大阪)
「うらやましく、楽しく、そして、各国各地の空気を感じながら読ませていただきました。見知らぬ土地を一緒に旅している様な気分で読む事ができました。説明ばかりの紀行文ではなく"本当に旅したい"という想い、グングン伝わって来て、こちらにも列車が響いてくるようです」(秋田)
「自分が見たかった旅のエッセイってこんな本だったのです。よくスケッチとか、勢いあまって文だけとか…。今いち、イメージがわからないので、写真がとてもよかったです」(静岡)
「『かっぱえびせん』のような本でした。届いた日に『ちょっとだけ』のつもりで読み始めたら止まらなくなり、結局、最後まで読んでしまいました。これまで読んだどんな本とも違う、『体感する本』でした。写真と文がセットになっている構成はとても気に入りました。人生という旅の途中でこの本と出逢えてよかったです」(大阪)
メディアでの紹介状況
奈良新聞 2004年10月10日
中國新聞 2004年11月8日夕刊
鉄道ファン 2005年1月号
日刊ゲンダイ 2004年11月25日
神戸新聞 2004年12月11日
朝日新聞(兵庫) 2004年12月18日
日本カメラ 2005年2月号
アサヒカメラ 2005年2月号
広報せと 2005年12月15日
1982年の時の旅の話は
種村直樹氏の『気まぐれ列車の時刻表』に収録されています。
ちなみに私は「若ひげ」というニックネームで登場しています。
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初掲載:2007年4月29日